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『かく言う私も吃音でね』

先日Twitterで見かけた投稿。

それは探偵ナイトスクープで吃音症の少年が通天閣で想いを叫びたい、という回が感動して一番好き、と言う内容でした。

その少し前はバラエティ番組に吃音協会（そんなのあるんかい(笑)）が番組内容に抗議したー、とかでも吃音が話題になりましたね。

ちなみに吃音とはWikipediaによると言葉が円滑に話せない、スムーズに言葉が出てこないこと。非流暢発話状態のひとつ、だそうで。

症状としては

-連声型（連発、連続型）
発声が「お、お、おは、おはようございます」などと、ある言葉を連続して発声する状態。
-伸発
「おーーーはようございます」と、語頭の音が引き伸ばされる状態。
-無声型（難発、無音型）
「……お（無音）」となり、最初の言葉から後ろが続かない状態。
また完全に最初から空気を失ったように声が出ない状態の場合もある。

などがあるそうです。

症状も人によってまちまちで↑のひとつだけ症状が出る人も居れば全部出る人も居るし頻度も、たまにな人も居れば毎回な人も居てはっきりとした原因もわかっていないのが吃音です。

当時の探偵ナイトスクープをフルサイズで観ていないのでTwitterに貼られていた切り抜き部分だけになりますが、依頼をした少年は会話をすればすぐに吃音だとわかるぐらいには重度のように見えました。

彼の場合は感情が高ぶると吃音がでるらしいですね。

彼はその後吃音への想いを通天閣で叫び、後日番組に「ロケ後吃音が改善されました」と連絡があったそうな。

たまにナイトスクープである感動回ですよね。

放送時の局長がどなたかわかりませんが西田局長だったら絶対号泣していたことでしょう。

そんなわけで『吃音』という単語を目にしたので今一度自分自身に目を向けてみることにしたわけですが。

馴染みのお客様とかで僕が吃音なのってどれぐらいの人が気付いているのでしょうか？

僕の吃音は物心ついた時からの大ベテランなのでWikipediaにも載っている『吃音が出にくい工夫』を色々しています。

ですのであんまり気付かれていないかなー？と思っているのですが気付いていてもいちいち指摘しないだろうから実は「ヒロくん吃音あるんだなー」とみんな思っているのでしょうか？

僕は↑の症状、『連声』『併発』『無声』全部あります。

『無声』は僕の場合最初の一言目が出ないので「ーーーッ」と完全に無音になってしまうのですがこれも

「あ」が出ない日があれば

「え」が出ない日もあります。

『無声』で「あ」が出ないなーって時に無理に「あ」を出そうとすると「ああああ、あ」と今度は『連声』が出てきます。

なので通常は言い回しを変えて一音目「あ」を回避するのですが、場面によっては良い言い回しが見つからず「あ」を使わないといけない時もあります。

そんなときは『連声』がでないように「あ～～○○」と『併発』のほうに妥協するわけです。

まぁ結局『併発』は出ていますが『連声』がでるよりはマシかなーって感じです。

僕の場合まずは『無声』を回避すれば吃音は出ないので一音目に出ない単語を避ければ良いのですが

厄介なことに今日は何の音が出ないかはその瞬間にならないとわかりません。

毎朝スマホに今日は「す」「の」「ま」が出ません、とか表示してくれたら良いのにね。

通常、お店の電話対応は

「お電話ありがとうございます、コーヒービーンズヒロです。」

と話すのですが

たまに一音目に「お」が出ない日があります。

そんな日は

「ーーー（あ、「お」が出ないやー）、、、コーヒービーンズヒロです。」

と「お」を避けて話します。

この時無理矢理「お」を出そうとするとおそらく

「おおおおおおお、お電話」

とゴリゴリに吃音が出るので「お」を回避しているわけですね。

「あ～～～お電話、」

と伸ばしたらなんだかミュージカル調になってしまいますし。

店頭でもお客様が来店されたら

「いらっしゃいませー」

と挨拶していますが、「い」が出ない日は

「こんにちはー、いらっしゃいませ」

と言い回しを変えています。

不思議な事に一音目だと「い」が出ないのに後ろに来るとスッと出るんですねコレが。

「メンタルがー」とか

「緊張しているから」とか

好き勝手なこと言う人が居ますが家族や恋人の前でも関係なく出るんですよねー。

そんなわけで吃音がある僕ですが普段の会話では相手７：自分３ぐらいの割合になるように聞き手側にまわって相手に話させたり、そもそも会話の輪に積極的に入らなかったりするので今の僕としては日常生活で吃音は気にならなくなっています。

僕はいつから？とかきっかけとか記憶にないぐらいなのでおそらく幼少期、言葉を話し始めた頃から吃音があって自然

と吃音が出にくくなる話し方をするようになったので昔からあまり気にしていないのと、幼少期はロン毛だったり金髪だったりして容姿をからかわれる事が多くて吃音をイジられる事もなかったのも幸いだったのかもしれません。

そんなわけでありがたいことに僕は今現在吃音でまったく悩んでいません。

ただもし、今吃音で悩んでいる人がネットの波に乗ってここに辿り着いていたらこんな話があるので聞いてほしいかなーっと思ってちょっと書いてみます。

あまり話さないことはある種ギャップになると。

以前友人の家にお邪魔したときですが。

彼は男の子２人のパパなわけですが１０歳になるお兄ちゃんはまだベビーカーに乗っていたとき以来、弟の方はその日が初対面でした。

リビングで奥さま、友人、僕の３人でお茶を頂いていて奥さまがそろそろ保育園に下の子を迎えに行く時間になったとき２人からこう言われました。

「下の子、場面緘黙症だから声かけても返事しないかもしれないけど気にしないで」

場面緘黙症とは家族など特定の場所や場面では話すことができるがその他の状況や場面では話す事ができなくなる疾患、だそうで幼児期に発症するケースが多いそうです。

全然気にしないよー、と言って奥さんが下の子（以降仮にこの男の子をカイ君と呼称します）を迎えに行ってしばらく…

奥さまとカイ君が帰ってきました。

「おかえりー」

と僕は声をかけましたが当然、カイ君は僕を見てキョトンとしています。

「パパの友達やで」

と友人から紹介してもらいましたがカイ君はそそくさと服を着替えに別室へ駆けて行ってしまいました。

このやり取りも普通だったら「シャイな子なのかなー？」ぐらいで気にも留めないかもしれませんがカイ君が場面緘黙症だと事前に聞いていた僕の中では既に

「（カイ君可愛い…天使か(*’ω’*)）」

とメロメロになっていました。

サラサラの髪に透き通った瞳の無口な美少年、と僕の中でカイ君が勝手にキャラクター化していたんでしょうね。

ほどなく着替えたカイ君が戻ってくるとゴソゴソとキッチンの方からスティック状のお菓子を出してきて食べはじました。

「（かわいいなー）」と僕がカイ君を眺めていると奥さまのそばに居たカイ君が僕のほうへ近寄ってきておもむろにお菓子を１本取り出し

「…あげる」

と小さな声でしたがハッキリと言うじゃありませんか！

「えー、１本くれるの？ありがとう！」

と言うと僕の袖をギュッと掴んで

「…テレビみよ」

！！！

内心で「（うおーーーーマジかー！！！）」とテンションぶち上げでしたが平静を装って

「良いよー、何観るの？」

と言ってその後小学校から帰ってきた上のお兄ちゃんも一緒に二人が好きなジョジョのアニメを観ました。

鑑賞中もカイ君はピッタリ僕にひっつきながら

「この○○がね、あとですっごくなるんだよ」

とかアニメの話を色々してくれました。

フフフ、どうです皆さん、羨ましいでしょう？

カイ君にとったらこの日はたまたま調子が良くて初対面の人とでもすんなり話せたのかもしれない。

家の中でママもパパもいる環境だったからリラックスしていて話せたのかも知れない。

でも僕にとっては

「やったー！カイ君が僕に心を開いてくれた！」

なんて都合よく思っちゃうわけです。

ここでは場面緘黙症がギャップ萌えになっているわけです。

もし、他の友人たちがカイ君と何度か会っているのにカイ君と会話をしたことが無いとわかったら

「俺はカイ君とジョジョ一緒に観たぜ(　-`ω-)✧ﾄﾞﾔｯ」

とマウントを取りたくなるに違いありません。

もし、次にカイ君と会った時場面緘黙症が出てカイ君とお話ができなかったとしても

「（くぅ～！もう一度カイ君の声が聞きたい！）」

とカイ君のデレを知っている僕は更に沼にハマることになるでしょう。

そう言えば僕自身も聞き上手、なんて言われたことがあるのを思い出しました。

吃音が出ないように積極的に聞き役になっていることが相手にとっては聞き上手に見えたのかもしれません。

クール、ミステリアス、なんて言われた事もあります。

吃音が出ないように会話の輪にあまり入らない事や口数が少ないことがそう見えたのかもしれません。

そんな僕がふとしたときに、つらつらと話しをしたときにその会話の相手は僕がカイ君に感じたように

「（ヒロくんが私に心を開いてくれた！）」

と知らぬ間に好感度がぶち上がりしている可能性もあります。

それがただの気まぐれだったとしても。

探偵ナイトスクープの少年も言葉に詰まりながらも一生懸命に自分の想いを吐露する姿に胸が打たれた人が多かったでしょう。

『吃音』をネットで軽く検索してみると

「治し方」

「改善」

「克服」

なんて単語が並んでいます。

症状は人それぞれなのでそう言った方法で治る人ももちろん居ると思います。

でも、どうやっても吃音が出る人は仕方ないです。

そういうモノだと割り切っていくしかないでしょう。

からかってくる人もいるかもしれません。

でも、そう言う人は相手が吃音だからとか関係なく人を無意味にディスったり嘲笑するタイプの人間なのでこれも仕方ないです。世の中こんな人は一定数居るので。

でも、吃音を回避するために無口でいることや独特な言い回しをする事が琴線に触れる人も居るのです。

つらつらと流暢なトークは他の人に任せて聞き役になったり、他の人に話しを振ったり、妙に古めかしい言い回しを好意的に見てくれる人が居ます。

こちらが意図せずギャップを感じてくれているならラッキーです。

こう言った事は見方を変えるとある種、吃音があったほうが見に付きやすいスキルなのかもしれませんしね。

ちなみにですが、同じ意味の言葉で色んな言い回しができたりと語彙力があがるので読書がおすすめですよ。

AIイラスト『吃音-stutter-』

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—垣内　弘敏（カキウチヒロトシ）

-1988年8月17日生まれのB型

海南市のコーヒー豆販売店「コーヒービーンズヒロ」の店主

-趣味は読書、映画、ラジオ、観葉植物、ゲーム、ひとり飲み…

とにかく単独行動が好きなタイプ

-仕事のきっかけはコーヒーは実家の香りだから…

-好きなサッカー選手はロベルトバッジオ

-実はユースケ・サンタマリアやリリー・フランキーに憧れている

-よく聴く音楽は「マライアキャリー」「アヴリルラヴィーン」「リンキンパーク」「エルレガーデン」「マンウィズアミッション」

-好きな女優はシャーリーズ・セロン、満島ひかり

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