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先日「トランス・ワールド」とと言う映画を観たのですがとても面白かった！

面白かったが、色々と「？」疑問に思った点があったので自分なりに考察というか整理してみようと思います。

※ネタバレも含みますので未視聴の方はご注意ください。

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トランス・ワールド

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□トランス・ワールド

□概要・あらすじ

「トランス・ワールド」原題：Enter Nowhereは２０１１年にアメリカで公開されたSF映画。

古びた小屋のある森で出会った３人の男女は次第にこの森や周辺、はたまたお互いの素性など自身を取り巻く状況の異変に気づいていくが…。

□感想

面白い映画でした。

一番良かった点が「ストレスなく観れる」と言う所でしょうか？

映画に限らずですが、個人的につまらないと感じたり冷めちゃったりするのは「脚本に合わせてキャラクターを無理矢理動かしている」と言うのが露骨に出ちゃう作品、と言うのがあります。

例えば、視聴者からみていて何の魅力も感じないのに異常にモテる冴えない主人公、とか既に死者が多数出ていたり異常事態になっているのにありえないぐらい迂闊な行動をする奴とかです。

こういったシーンも「映画だから」とか「主人公補正」である程度は許容できるのですが（悪役の銃撃はまったく当たらなく主人公は驚異のエイム力なアクションとか）それでも理由付けとしてちゃんと遮蔽物をうまく利用している、とかはキチンとしていてほしいと思うのです。

ただ、この「映画だから」と言うのを過剰にやってほしい場合もあります。

それは我々視聴者側が求めている場合。

「ジョンウィックシリーズ」は早くジョンウィックの無双を観たいわけだし、「１３日の金曜日シリーズ」だとウザイカップルが居たら早くベットインして欲しくなるように、時と場合によってこういったご都合展開は面白い要素になると思います。

長々となってしまいましたがこのようするに観ていて「イライラするかしないか」という事になるのかな(笑)

そこを踏まえるとこの「トランス・ワールド」はとにかく無駄がなくストレスフリーで、そんな所が「面白かった！」と言える所以なのかなーと思います。

まずは無駄話が一切無いという点。

劇中での登場人物のセリフはすべて意味がありました。

序～中盤はお互いの時代が違う事だったり、血縁関係だったりを示唆する会話。

後半は答え合わせだったりお互いの意見だったり知っている事のすり合わせだったり、ととにかく無駄なセリフやシーンがないので間延びせず快適に観ることができます。

映画的には必要ないのでオープニングでケビンとジョディには強盗時の「車を出しておいて～」と言うセリフのみだし、エンディングではサマンサとジョディの会話もありません。

小屋のシーンでも男女３人、と言う事でちょっとした色恋話だったりでも挟もうと思えば挟めますが必要ないのでそんなシーンはありません。

こんな感じで「無駄な描写がない」映画ですが、それ故に視聴後によくよく考えてみると「何かおかしい…」と違和感があったので一度目の視聴後すぐ、もう一度視聴してみましたのですが「やっぱり何か変だ」と感じたので、情報を整理しながら自分なりに考察していこうかなと思います。

あくまで個人的な考察、というか妄想も入るのでその辺はご了承ください。

□疑問点

まず、いくつか僕が感じた作中での疑問点を挙げていきます。

映画があまりに綺麗に展開してまとまったので流されてしまいそうになりましたが考えてみるといくつかおかしな点が浮かび上がってきました。

■小屋への転移と店員と金庫の関係性（各キャラクターの転移地点）

まず、オープニングとエンディングに登場する店員（金庫）です。

オープニングではジョディ、エンディングでは強盗女に対してまるで半生を見透かしたような意味深なセリフと、「中身はお気に召さないよ」とただの金庫ではないような事を示唆しています。

なんとなく映画を観ていると

→オープニングで銃声（瞬き）と共にジョディが目を閉じ小屋へ転移

→ハンスを助け歴史を改変

→目を開けると改変後の世界へ、エンディング

という流れのように見えますが…

■オープニングは何年？

エンディングで新聞の日付が１９８５年１０月であることからエンディングは１９８５年１０月以降なのは確定でしょう。

ではオープニングは？

少なくとも１９８５年１０月ではないことは確かだと思います。

■オープニング、エンディングの場所はどこ？

オープニングとエンディング、同じ店と店員、再び現れるケヴィン、と同じ場所であることは明白ですがならばここはどこなのか？

ジョディが小屋へ転移したウィスコンシン？にしては不可解な点が多いと思いませんか？

■ジョディの足取り

「デトロイトからシアトルへ向かう道中だった」と話すジョディ。

なぜシアトルへ向かっていたのか、ジョディの足取りを追えばオープニングとエンディングの場所や不明な日付がわかるかもしれない。

■オープニングは何年？その２

オープニング＆エンディングの場所、ジョディの足取りを踏まえてオープニングの日付を絞っていきます。

■トムの怪しい点

劇中、紳士的で洞察力も鋭くハンスが居るものの実質たった一人の男手ということで非常に頼りになる男トム。

自称２０１１年から小屋へ転移したそうだが…

・足、骨折してなかった？

・溝にハマっただけなら出せば動くんじゃね？

・携帯への言及がないようだけど？

・ハンスへの対処がトムにしては迂闊すぎる

・ジョディが言うのもごもっともな事

・トムだけロケットを持っていない

・サマンサの問いに「いいんだ」と言った背景

■改変後のトム

エンディングではおそらく骨壺に入っているであろうハンス、サマンサ、ジョディと主要人物が登場しましたがトムへの言及がありませんでした。

トムのその後については

「生まれなかった説」

「ケビンと強盗女の間に再び生まれる説」

が主力ですが…

□小屋への転移と店員と金庫の関係性

まず、オープニングとエンディングに登場する店員（金庫）です。

オープニングではジョディ、エンディングでは強盗女に対してまるで半生を見透かしたような意味深なセリフと、「中身はお気に召さないよ」とただの金庫ではないような事を示唆しています。

なんとなく映画を観ていると

→オープニングで銃声（瞬き）と共にジョディが目を閉じ小屋へ転移

→ハンスを助け歴史を改変

→目を開けると改変後の世界へ、エンディング

という流れのように見えますが…

まるで意味深な店員（金庫）きっかけで転移しているかのような描写ですがそんなことはないですよね？

少なくともオープニングの銃声直後にジョディが転移したとは考えにくいと思います。

ジョディは「ウィスコンシンでケビンと喧嘩し置き去りにされて」気がついたら小屋へ転移していました。

もし、オープニング直後に転移していたら

「強盗をしていて気がついたら」

とか

「変な店員が…」

とか

「金庫を開けたら…」

となるはずです。

そもそもオープニングと小屋ではジョディの服装が違っています。

オープニングでは薄着とまではいきませんが比較的ラフな服装で生足も出していますが小屋への転移時はダウンを羽織って厚着をしています。

と、なるとあの意味深な店員や金庫は「転移のキー」ではないと言う事になります。

サマンサ、ジョディ、トムの３人はそれぞれ別の時代、場所から小屋へ転移しています。

サマンサは１９６２年ニューハンプジャーから

ジョディは１９８５年ウィスコンシンから

トムは２０１１年サウスダコタから

となります。

サマンサもジョディもトムも察しがよく不足の事態にも取り乱さず対応できる適応力がある人物です。

もし意味深な店員や金庫とそれぞれ遭遇していて直後、あるいはその後転移していれば「そういえば奇妙な男に会ったんだがみんなはどう？」という話題が出てくると思うのです。

転移のタイミングにズレが生じているのも気になります。

オープニングのジョディが転移のトリガーだとしたらジョディが転移するより一足先にサマンサとトムが転移しているのは不可解ではないでしょうか？

サマンサはジョディの１日前、トムは３日前に転移してきたそうですが。

ジョディが転移のキーポイントだとすると

→ジョディが歴史改変のため小屋（曾祖父ハンスの時代）に転移

→ジョディの血縁であるサマンサ、トムを召喚

という流れになりサマンサとトムがジョディに次いで小屋へ転移するのが道理のような気がするのですがいかがでしょうか？

そもそもの前提として「ジョディたちがハンスの時代へ転移」したのか「ハンスのもとに召喚された」のかでも色々と変わってきます。

サマンサが小屋の中で異常に興味を示していたおもちゃ。

小屋の中にあったという事はハンスの所持品でしょうか？

おそらく１９３９年９月であろう小屋の時代、(ヴィエルニ爆撃があったのが１９３９年９月１日)もしかするとこの時ハンスの妻はサマンサを身籠っていたのかもしれません。

「父は戦死したので顔も知らない」

とサマンサが語っていることから本来ハンスが戦死するこの１９３５年９月はサマンサが生まれる前、あるいは物心つくまえとなります。

もしかするとハンスが任務につく直前にこのおもちゃを購入し、無事家へ帰れたらサマンサに渡そうと思っていたのかも知れません。

そんなおもちゃですが、エンディングで意味深な店員が持っています。

クルクル廻るおもちゃ、と言う事でループを暗示しているとも取れなくはないですがうーん…

意味ありげですがいまいち意味がわかりません…。

話は逸れましたが、何が言いたいかというと「誰（何）が転移の起点なのか」と言う事です。

オープニングやエンディングの意味深な店員の発言により

「人生どん詰まりなのに気にも留めていない」ジョディを運命の岐路となった曾祖父ハンスが戦死した時代（場所）へ送り込み更生、はたまた人生をやり直すチャンスを与えた、と言うようにジョディが物語の起点になっているように見えますが、先述した転移のタイミングなどジョディが起点と考えるには些か不審な点が多いと思うのです。

僕はトムが起点なのではないか？と疑っています。

最初に小屋へ転移したのもトムですし、自分たちの運命を変えることにいち早く着目し、奮闘したのもトムです。

と言う事でトムについては後でもう少し考察するとして、もう少し劇中で不確かなだった情報を整理してみます。

□オープニングは何年？

エンディングで新聞の日付が１９８５年１０月であることからエンディングは１９８５年１０月以降なのは確定でしょう。

ではオープニングは？

少なくとも１９８５年１０月ではないことは確かだと思います。

一番のポイントは「ジョディが妊娠していない」と言う事です。

トムは１９８５年１２月１２日に生まれました。

この事から

→エンディングのジョディが妊娠していない（新聞の日付よりエンディングはおそらく１９８５年１０月）

→トムが生まれない世界線になった

とエンディングを考察することはできますが、オープニングとエンディングが歴史改変前、改変後の違いはあれ「同じ場所」で「同じ日付」だった場合この「ジョディが妊娠していない」理論はオープニングにも当てはまることになります。

ではオープニングはいつだったのか？

まずはオープニングのジョディが「妊娠前」なのか「妊娠中」なのか「出産後」なのか、ひとつずつ可能性を考えながら検証、考察していきます。

出産後の可能性

→限りなくゼロに近い、出産後だとすれば歴史改変、改変後でもない第３の世界線のジョディになる

トムの証言により改変前のジョディは刑務所内でトムを出産し、その８か月後に死刑執行されています。

店員（意味深な店員かは不明）とケヴィン殺害により服役しているためケヴィンが存在している時点で脱獄云々の前に出産後の線は消してよいと思います。

オープニングのジュディが出産後であるのは小屋に転移した３人、エンディングで改変された世界とは異なる第３の世界線でそこのジュディ、と言う場合のみになると思いますがそうだった場合もう考察もへったくれもなくなっちゃいますのでこの線では考えないものとします。

妊娠中の可能性

→可能性はあるが…

トムの出産が１２月なので妊娠中はおおよそ１９８５年２月～１２月となります。

オープニングのジョディが妊娠しているようには見えないので妊娠している場合お腹が目立つ前の初期になります。

妊娠０～３か月としたら２～５月となりますが、手がかりとなる情報が少ないですね。

ジョディやケヴィン、意味深な店員の服装から比較的過ごしやすい気候（気温）？と言う事から２～５月の間だと４月か５月の線が有力な気がします。

妊娠前の可能性

→本命。ただその場合年代の絞り込みが難しい。

妊娠前と考えるのが一番自然だと思う。

とすれば１９８５年１月以前になるが具体的な年代、日付の絞り込みは困難。

オープニングを何度か見返してみましたが日付を特定できるものを見つける事はできませんでした。

-何気にケヴィンが乗っている車もクラシックである種伏線になっているんですかね。

「オープニングがいつなのか？」を考えていくなかで

「そもそもこの場所はどこなのか？」

と言う疑問が新たに浮かび、場所の特定のため「ジョディの足取り」というのを追ってみました。

□オープニング、エンディングの場所はどこ？

結論から言うと僕は「バージニア」ではないか？と考えています。

まず、この映画は無駄話、と言うのが無いので劇中で言及された土地ではないか？と言う前提があります。（そうじゃなかったらさっぱりわからない）

一応店内にアメリカ国旗があるのでアメリカのどこか、と考えてよいと思います。

次にエンディングでジョディとサマンサの自宅が海岸沿いにあることが分かるので（わざわざ室内のカットを入れてから海岸のカットになっているのでここまで遠出してきた、というわけではない）アメリカ大陸で海岸に面している州、と言う事になります。

劇中で言及された海岸に面した州になると

・バージニア

・ニューハンプジャー

・ワシントン（シアトル）

となるのですがまず「ワシントン」は除外してよいと考えます。

ワシントンを除外する理由

→改変前のジョディ+ケヴィンに由来する場所で改変後のジョディには関係のない土地だから

「ジョディの足取りを追う」で詳しく言及しますが僕はジョディが「ニューハンプジャーからシアトルを目指していた」と考えていて、ジョディがそう考えるようになったのも「祖父母の虐待」と「ケヴィン」が大きな要因だと考えています。

なので改変後の世界では何の縁も所縁もないワシントンに住んでいるとは考えにくいと思います。

あと、アメリカに行ったこともなければ土地勘なんてまったくありませんがいくら１９８０年代とは言ってもあの風景や街並みはワシントンっぽくない気がするのですがどうでしょうか？

次にニューハンプジャーの可能性ですが

→サマンサは義両親とは不仲だった+小屋での会話から可能性は低い

小屋での会話によりサマンサは妊娠報告にため「ニューハンプジャーへ向かっていた」事が分かっています。

「向かっていた」と言うことは「他の州からニューハンプジャーへ向かっていた」と読み取ることができるかと思います。

そしてサマンサはバージニア出身であることも語られています。

宗教を理由に義両親から疎まれていた、と言う事で歴史改変後もサマンサと義両親の不和は続いていた可能性がありますし、エンディングの豪邸がハンスの家（サマンサの実家）だとすれば尚更バージニアの可能性が高まります。

□ジョディの足取りを追う

僕はジョディが「ニューハンプジャーからシアトル（ワシントン）に向かっていた」と考えています。

劇中では「デトロイト（ミシガン）から」と言っていましたがなぜニューハンプジャーからと考えたか、またそれを考察するにあたり、改変前の小屋へ転移するまで、歴史が改変されなかった場合のその後、までジョディの足取りを追ってみました。

ニューハンプジャーから、と考える根拠

→祖父母（アダムの父母）はニューハンプジャーに居たから

ジョディは出産時にサマンサが無くなり、サマンサの母（ハンスの妻）はハンスの死後別のパートナーと再婚していたためジョディは父方（アダム）の祖父母に預けられる事になりますが、そこで祖父母から虐待を受けてしまいます。

サマンサとアダムはアダムの両親に妊娠の報告をするためニューハンプジャーに向かっていました。

と言う事は父方の祖父母に育てられたジョディはニューハンプジャーで育った（幼少期を過ごした）と推察できます。

→ジョディはニューハンプジャーを嫌悪していた

サマンサとの会話の中でジョディは「ニューハンプジャーに居たことがあるの、あそこには２度と行きたくないわ」という旨の発言をしています。

父方（アダム）の祖父母の元で育ったジョディですが、その記憶は最悪のものでした。

祖父母からは一生消えない傷が出来るほどの虐待を受け、まともな教育も受けさせてもらえない様な環境で育っています。

年を重ねてきたジョディが忌まわしい記憶しかないニューハンプジャーから離れたい、と思うのは至極当然じゃないでしょうか？

そして「ニューハンプジャーから離れる」と思い立ったジョディがニューハンプジャーの対岸にあるシアトル（ワシントン）を目的地に定めるのは道理にかなっていると思います。

そしてジョディは「ニューハンプジャー」を嫌悪している。それも「口にだすのさえも嫌なくらい」と考えると、本当はニューハンプジャーをでてその後デトロイト（ミシガン）まで行き、最終目的地がシアトル（ワシントン）というのをニューハンプジャーの部分を省いて「デトロイトからシアトルを目指していた」と言っても不思議ではないのではないでしょうか？

こう考えるとジョディはケヴィンと共に（旅の道中でケヴィンに出会った可能性はあるが）ニューハンプジャーを出て、窃盗や強盗などで金銭を得ながらシアトルを目指す旅をしていたのではないか？そしてその道中で意味深な店員や金庫と出会いそして、ウィスコンシン州で小屋へ転移したのではないか？と推察できます。

となるとニューハンプジャーからシアトルを目指す道中に

・オープニングの強盗の場面

・ウィスコンシンから小屋へ転移

・サウスダコタで捕まり刑務所へ収監される

という流れができると思います。

旅の道中で引き返す、というおかしな動きをしていなければニューハンプジャーからシアトルまで西へ移動していた、と仮定できるのでジョディの足取りとしては

・ニューハンプジャーからバージニア方面へ

・バージニアからミシガンへ

・ミシガンからウィスコンシンへ

・シアトルを目指しサウスダコタへ差し掛かった所捕まり、刑務所へ収監、獄中でトムを出産

と推察できます。

デトロイト（ミシガン）、ウィスコンシン、シアトル（ワシントン）という単語はジョディの口から語られているがなぜバージニアを経由している、と僕が考えているかと以下のような理由があるかです。

なぜバージニアへ立ち寄っていると考えられるか

→オープニング、小屋への転移の時系列を整理したところ第３の場所が浮上し、その最有力候補がバージニアだから

先の考察でオープニングの場所はジョディ妊娠前の可能性が高い、と考察しました。

ジョディは１９８５年にウィスコンシン州の郊外で小屋へ転移しています。

小屋でのトムとの会話によりジョディは自信の妊娠はあり得ない、と否定しています。

と、言う事は転移時点では妊娠前、あるいは妊娠を認知する前（妊娠０～３か月）と仮定することができます。

先のオープニングの考察によりオープニングでは少なくと妊娠中、本命では妊娠前だろう、と言う結論に達しました。

尚且つ海岸線や気候の考察によりオープニングの地点はウィスコンシンではない可能性が高いです。

…もう少し分かりやすく解説すると、時系列として

・強盗をし、意味深な店員、金庫と邂逅

・ウィスコンシンで小屋へ転移

と言う図式になる、と考えられるという事です。

ウィスコンシンで小屋へ転移

→転移しなかった世界線で意味深な店員と金庫と邂逅と言う図式の場合、オープニングのジョディは妊娠していなければおかしいです。

小屋へ転移したジョディは「今は１９８５年」と発言しています。

尚且つこのジョディは自身が妊娠、出産することに否定的です。

「子供はつくらない」

と確固たる意志をジョディが持っていることからおそらくはケヴィンとの営みも基本的には避妊をしていたのだろう、と考えられます。

このあたりが曖昧ならトムとの会話の中で「私が子ども産むなんて、、、ありえない！」と強く否定はしないと思います。

ジョディが普段から避妊等に無頓着であるならばトムが生まれていることに関して「思い当たる節はあるし、あり得なくはないなぁ…」となるはずです。

話を戻しますがウィスコンシンでの転移時が１９８５年、尚且つジョディが妊娠を自覚していない、となるとジョディが転移した日付は１９８５年の１月～妊娠が目立たない妊娠初期の５月、となりこのことやオープニングでは妊娠していない（気づかないぐらいの妊娠初期）と踏まえるとオープニングの場所は内陸部であるウィスコンシンから海岸のあるシアトルまでの間、よりも「それ以前の地域」と考える方が自然ではないか？考えました。

そして、ニューハンプジャーからウィスコンシンの間で「海岸線があり」「主要人物に関係のある地域」と的を絞っていくと「バージニア」へとたどり着くわけです。

□オープニングは何年？その２

これまでに考察した

・オープニングの場所はバージニア

・バージニアとウィスコンシンの地理関係からオープニングの日付はウィスコンシンで小屋へ転移する以前の出来事

・ウィスコンシンで小屋へ転移したのは１９８５年

・ジョディが自身の妊娠を自覚していないことから転移時は１９８５年の１～５月の間

という事を踏まえればオープニングは「１９８５年５月以前」と言う事が確定情報として考えられます。

なぜ僕が「オープニングは何年なのか？」に固執しているかと言うと、この「１９８５年５月以前」という単語でもわかる通りエンディングは少なくとも「１９８５年１０月以降」であるからです。

カット割りの演出によりオープニングとエンディングは「同じ場所で同じ日時だけど微妙に運命が変わっている」と言うシーンに見えそうですが実際は「同じような状況になっているが時間軸はまったくズレている」という事態になっています。

物語としてののご都合主義としてはこのようにわざわざ時系列を複雑にしなくて良いと思うのです。

「ジョディが主線の話ならば」

この映画は非常に丁寧に作られています。

劇中で登場人物たちは一切無駄な言動をしていません。

すべての言動に意味がありました。

ならば、この時系列の違和感、パッと見ていたらすんなり入ってくるがよくよく考えると矛盾がでてくる…というオープニング＆エンディングの演出をしたか

「これには意味があるから」

ならどんな意味が？と考えたすえに僕が辿り着いたのはこれは「ジョディの物語ではない」と言う事を暗示しているのでないか？ジョディじゃなければ誰の物語？となると

「…トムじゃね？」

となるわけです。

改めてよくよく考えてみるとトムは些か信頼できない描写が多々あったように思います。

□トムの怪しい点

劇中、紳士的で洞察力も鋭くハンスが居るものの実質たった一人の男手ということで非常に頼りになる男トム。

自称２０１１年から小屋へ転移したそうだが…

・足、骨折してなかった？

・溝にハマっただけなら出せば動くんじゃね？

・携帯への言及がないようだけど？

・ハンスへの対処がトムにしては迂闊すぎる

・ジョディが言うのもごもっともな事

・トムだけロケットを持っていない

・サマンサの問いに「いいんだ」と言った背景

・足骨折してなかった？

→物語序盤、トムはサマンサに「実は骨折しているんだ」と言って足の傷を見せます。

その後もトムのシーンでは少し片足をかばって歩いているような描写がされています。

ただ、ラストのハンスを追い詰めるために走っている場面では….と言うか普通に走っていますが….僕は思わず「足直った描写あったっけ？」と観返してみましたがそんなシーンもなく、かと言えばラスシーンのトムがケガをおして走っている、と言う風にはどうにも見えませんでした。

「骨折している」と言うのはサマンサの警戒心を解くためのブラフ？

・溝にハマっただけなら出せば動くんじゃね？

→トムが小屋へ滞在している理由は「車が溝にハマり故障したため身動きが取れない」でした。

途中、ガソリンを汲み出すシーンで件の車が映ります。

ジムニーのような小型のジープタイプです。

これなら、「その辺の木とか使ってテコの原理で溝にハマったタイヤだせない？」と思ったのは僕だけでしょうか？

なぜ小屋に滞在しているのか、と言う違和感についてジョディも言及しています。

まぁその時はトムに上手く躱されていましたが…。

・携帯への言及がないようだけど？

→この映画は一種の「クローズドサークル」と言えます。

クローズドサークルを作る際には「移動手段」と「通信手段」を断つことが重要になってきます。

サマンサ、ジョディとも小屋に辿り着いた時に「電話はある？」と通信手段に言及しています。

そして、「使えない無線機があるだけだ」と返され、外界との連絡手段がない、と言う事をサマンサとジョディは認識するわけですが。

１９６２年と１９８５年から来たサマンサ、ジョディにとって「電話」とは「固定電話」ですが２０１１年から来た　トムにとって「電話」とは「携帯電話」ではないでしょうか？

つまり、サマンサとジョディが言う「電話はないの？」は「小屋に電話はないの？」と言うニュアンスで言っている、という事です。

一方携帯電話が普及している我々からすると「電話持ってない？」は小屋という場所、ではなくそれぞれ一個人に対して向けられた発言になります。

もし、トムが携帯電話を持っていなかった、としても通常ならばサマンサやジョディに「携帯電話で外界と連絡をとれないか」と聞くのが普通だと思います。

サマンサとジョディは「携帯電話」を知らない時代の人間なので違和感はないのですが２０１１年のトムが携帯電話に言及しないのは不[」可解な点かと思います。

・ハンスへの対処が迂闊すぎる

→序盤から銃声などは聞こえていましたが終盤にようやく登場したハンス。

「（斧が）唯一の武器だ」「何が起こるかわからない」と慎重な姿勢を見せていたトムですが明らかに銃を携えているハンス（まだこちらに気付いていない）に向かって堂々と姿をさらしています。

それまでのトムを見ているとこの行動、あまりにも迂闊すぎる、と違和感を覚えないでしょうか？

曲解するとまるで「ハンスが最後のピース」であることが分かっていて強引に絡みにいった、とも見て取れます。

・ジョディが言うのもごもっともな事

→「サマンサと何もなかったの？」とジョディが二人をからかうシーンがあります。

トムは思慮深く紳士的だから、とも言えますが確かにサマンサは美人だし、人妻だからなのか妙に色気に溢れています。

いきなり襲い掛からないにしてもちょっと口説く、ぐらいあってもよさそうですがトムにその気は一切ありませんでした。

「ここに来るのは自分の血縁者」

と言う事をトムが事前に知っていたならばトムの賢者対応にも合点がいくかもしれません。

・トムだけロケットを持っていない

→小屋に集められた４人が実は血縁者だった、判明するシーン。

その根拠として、ハンスが妻の写真を入れたロケット…をサマンサ→ジョディと受け継ぎ身に着けていたから、となるわけですがトムだけはロケットを所持していませんでした。

「死刑執行された母の形見の中にそんなロケットがあった」と自分も血縁であることを証明するかのように話すシーンがありますが、なぜ脚本、ひいては映画監督はロケットの実物をトムに持たせなかったのでしょう？

話の筋道としては「顔も知らない母だがその遺品にあったロケットを肌身離さず持っていた」としたほうが事はスムーズに運びます。

わざわざ「今現物は持っていないがロケットは知っている」と妙にややこしく必要はないように思えます。

ならばこの「トムだけロケットを持っていない」ことに何か意味があるのでしょうか…

・サマンサの問いに「いいんだ」と言った背景

ラストシーン。

ハンスを戦死の運命から救うことで自分たちの人生を改変しようとするトムたちですが、土壇場になりサマンサは気づきます。

「ハンスを救う事で私（サマンサ）とジョディの運命は好転するけど、ジョディの人生が変わればトムは生まれないのかも」

と。

小屋への転移時点でサマンサはジョディを身籠っている、また、小屋での歴史改変によってアダムとの出会いが変わることは無い、という事でジョディの誕生は確定していますが、サマンサが出産時に亡くならないため祖父母に預けられ事は無く親の愛情を一身に受けて真っ当に育つジョディ、となるとケヴィンとの間に生まれるはずのトムはもしかしたら…という考えになるのは察しの良いこの映画の登場人物からすると当然で、サマンサが気付いている、と言う事は同じく思慮深いトムは当然自身がどうなるのか、という事に気付いているはずです。

それを踏まえて

「いいんだ」

と言ったトムは自身が消滅する未来、と言うのを覚悟していたのかもしれません。

と、ここまで考えているとやはり

「転移の起点はトムではないか？」

という結論に達します。

父代わりだった神父を射殺してその後自殺した、というトムの独白が真実か否かはわかりませんが、自身の生まれ、果ては人生に絶望するトムに「人生をやり直すチャンス」としてあの小屋が与えられたのではないか？

もしかすると劇中以外でもトムは何度か同じようなことを経験しているのではないか？

「ジョディの子トム」

ではなく

「ケヴィンとそのパートナーの子」

としてですが。

なので、小屋への転移からの落ち着きようや「運命を変える」と言う発言に繋がっていくのでは？

「ドニー・ダーコ」や「バタフライエフェクト」のようにこのてのタイムリープや運命改変ものの行く末は「自身が生まれない（死）が最善の策」という結論に至ることが多いです。

幾度かのやり直しの果てトムも同じように「自身が生まれない未来が最善」であることを悟ったのが終盤の「いいんだ」というセリフに表れていたとしたら…

トムゥゥゥッ！てなりますね。。。

□改変後のトム

エンディングではおそらく骨壺に入っているであろうハンス、サマンサ、ジョディと主要人物が登場しましたがトムへの言及がありませんでした。

トムのその後については

「生まれなかった説」

「ケビンと強盗女の間に再び生まれる説」

が主力ですが…

生まれなかった説

→単純に改変後の世界ではジョディはケヴィンと出会っていないのでトムは生まれない、改変前では末代となるトムが犠牲となり先祖であるハンス、サマンサ、ジョディを救う、というトムが超絶イケメンになる説です。

戦術の試行錯誤の上トムは自ら犠牲になることを受け入れた、と言う考察をしている自分にとってこの説を推したいと思います。

ケヴィンと強盗女の間に再び生まれる説

→この場合、後味の悪いバットエンド、となります。

クルクル廻るおもちゃやパートナーが変わっただけで変わらないケヴィン、ということでループ要素も示唆されているエンディング。

トムが「ケヴィンとジョディの子」ではなく「ケヴィンとその時（世界線）のパートナーとの子」だとすればケヴィンはどの世界線であの小屋のような異次元に転移し、自身の母方の関係者を救い続けなければいけないことになります。

毎回自身は消滅する、という苦も上乗せで。

僕はこうであってほしくない、とは思うのですが他の方の考察でこの説を後押ししちゃう考察があったのでご紹介します。

それはこの物語が「トムの地獄」である、という考察です。

トムの独白によれば彼は

・神父（聖職者）を殺害

・自殺

という大罪を犯しています。

無駄話をしない今作の中でサマンサが「宗教」というキーワードを出していることから聖職者殺しと自殺という大罪を犯したトムが永遠の輪廻のなか「自身の母を救い続ける」という無間地獄に落ちているのではないか？という考察でした。

これはあまりにもトムがかわいそうすぎるので、こうであって欲しくはないなぁと思います_(._.)_

■終わりに

結構な支離滅裂になった気がしないでもないですが、「トランス・ワールド」の独自考察でした。

何度も言っているように今作は「無駄話」や「無駄なカット（シーン）」がなくストレスフリーで観れる映画になっていますので考察もしやすいのかな？と思います。

そんなこと言いつつ僕自身結局「こうだったらいいなぁ」までしか考えが及びませんでしたがなんとなーく観ている映画やドラマでもどこかにフックをかけて見てみると色々な事に気づけたり、これが所謂「ハマる」ってことなのかなぁと思えたりするので皆さんも粗探し(笑)しつつ色々なものを考察してみてくださいね。

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トランス・ワールド

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— コーヒービーンズヒロ (@C_B_Hiro) June 11, 2023

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