ゲイシャ?アラビカ?コーヒーの品種etc…
第14回ゲイシャ?アラビカ?コーヒーの品種etc…
ブラジルのコーヒーは苦みがどうこう….コロンビアは酸味のバランスが云々… など、コーヒーの風味を表現する際にはどうしても生産国によって風味が決まっているような説明になりがちです。
しかし、コーヒーの風味は産地だけで語れるものではありません。
「産地」「品種」「栽培条件」「精製」「選別」この5つが風味に深く関わっています。
どの品種が、どのような場所で、どのように栽培され、どう精製され、選別されたかが、風味を分けるポイントになります。
もちろんその先の「焙煎」や「抽出」の工程によっても左右されるのですが、全ては素材そのものが持つ個性がどう引き出されたかに過ぎません。
こちらでは数あるコーヒーの品種の中から当店でも取扱っている品種を中心にご紹介いたします。
◇3大原種◇
-アラビカ種-
-カネフォラ(ロブスタ)種-
-リベリカ種-
◇品種◇
-ティピカ-
-ブルボン-
-ゲイシャ-
-カトゥーラ-
-SL28/34-
-ケント-
-アマレロ-
◇3大原種◇
コーヒーの原種は3大原種と言われる、アラビカ種、カネフォラ種、リベリカ種とされています。
そこから枝分かれし、下記の図のように品種の確認がされています。
-Arabica アラビカ種-
コーヒーの起源。
アラビカ種はエチオピアのアビシニア高原が原産のコーヒーの原種で
焙煎してコーヒーとして飲まれるようになったのは一説によれば13世紀ごろからだと言われています。
耐病性が低く病気にかかりやすく、栽培の条件的にも気候や風土・土壌が限定されるなど栽培が難しいが風味が他の2種に比べ豊かな点から、コーヒー豆の生産量の約6割を占めています。
クリーンでフローラルな風味と含油率が高く滑らかな口当たりが特徴です。
栽培が難しく育てるのに手間がかかることから品種改良も盛んに行われており、その数は100種以上あるとも言われています。
アラビカ種の中で品種として分かっているのはティピカやブルボンなどでその割合はなんとたったの約5%。
残りの約95%はエチオピアに原生しているHeirroom (へアルーム/エアルーム) と呼ばれる原種のまま(品種交配をせずに固定種のまま)存在し続けている伝統的な品種(総称)で、その解明はまだほとんどされていません。
ここ日本から遠く離れた所にはまだ人類の手が及んでいない未開の原生林があるなんて…ロマンを感じる話ですね。
-Canephora(Robust)カネフォラ(ロブスタ)種-
現在流通しているコーヒーの約4割を占めていると言われているカネフォラ種(ロブスタ種)。
アラビカ種に比べ病害虫(サビ病など)に強く、環境に左右されにくいという特徴を持っており、「強靭な」を意味する「Robust」が名前の由来とされています。
見た目はぷっくりと丸っこく、独特の「ロブ臭」と呼ばれる焦げた麦のような香りがあり、苦みの原因となるカフェインがアラビカ種よりも約3倍ほど多く深い苦みが特徴です。
アラビカ種よりも生産性は高いのですが風味が劣る為古くは缶コーヒーの原材料として扱われていた経緯などから、
一部のコーヒー愛好家からは低品質な珈琲豆として冷遇される事もありますが、一方ではパンチのある苦味を活かしてブレンドのアクセントとして少量配合したり、エスプレッソのクレマの形成には欠かせない物として扱われていたりと、人によって非常に評価が分かれている品種と言えるかもしれません。
-Liberica リベリカ種-
アフリカのリベリアが原産地。
病気の原因要素が増える低地でも育つため基本的には耐病性を持つ種だがサビ病には弱い。
果実の成熟に時間を要し、樹高は10mを超える大木に育つため収穫が困難であり生産性が低く、その上アラビカ種やロブスタ種と比べ風味も劣るので収穫されても産地で消費される他、研究用途等でヨーロッパに輸出される程度です。
このような経緯から原種ながらも市場にはほとんど流通しておらず、コーヒー豆の生産量の1%未満とされています。
風味はどちらかと言えばアラビカ種よりはロブスタ種寄りと言われています。
私自身もリベリカはお目にかかった事がないので一度飲んでみたい…と言うのもありますが10mを超える大木…の方が興味をそそりますね。
◇品種◇
-Typica ティピカ-
典型的な、ティピカルの意味をもつアラビカ種の原種と言われるもののひとつと言う古い歴史を持つ品種。
エチオピア南西部で生まれ、そこからイエメン、インド、インドネシアなどに広がっていったとされています。
味わいは上品でクリーン。
甘味とさわやかな酸味が特徴の風味が素晴らしい反面病気に非常に弱く、生産場所も限られ栽培が難しく収穫量も少ない為、流通量は極めて少ない。
他の品種と混在される事も多いため、単一品種として流通しているものはきわめて少ない状況です。
また生産性を上げる為の品種改良も行われており、今では「100%ティピカ」と呼べるものは少なくなってきています。
ハイブランドとして有名なジャマイカのブルーマウンテンやハワイコナは、それぞれその地で独自変化をしたティピカの亜種にあたります。
- -当店取り扱いの主なティピカ系珈琲豆(混在も含む)-
-Bourbon ブルボン-
ブラジルではコーヒーの原型とも言われているブルボン種。
舌ざわりの良い中にまろやかな甘みとコクがあり幅広い層に人気があります。
その誕生はティピカの突然変異種とされていますが、ティピカよりもチェリーは丸くやや小さめです。
突然変異は品種改良を行う目的で人口的に行われることが一般的です。
そんな中ブルボンは自然界で突然変異が生じた極めて異例な事例と言えます。
ティピカ種同様耐病・耐害虫性が低く、生産性も2年に1回の隔年収穫と低いためこちらも品種改良が進められており、現在は単一品種での流通が少ない品種です。
- -当店取り扱いの主なブルボン系珈琲豆-
-Geisha ゲイシャ-
今現在世界で最も高価なコーヒーのひとつ。
エチオピア南西部にあるゲシャ村の付近で発見されたところから、ゲイシャと呼ばれています。
エチオピアに原生しているエアルーム(ヘアルーム)と呼ばれる長年にわたって代々受け継がれてきた伝統的な品種で、他の伝統品種と比較しても著しく生産量が低い為栽培する農家がほとんどありませんでした。
しかしパナマのエスメラルダ農園によって栽培されたものが一躍脚光を浴び高値で取引されたことにより大復活。
2019年にはエリダ農園のゲイシャが1ポンド(約453g)1,029ドル(約11万円)という世界最高値がつきました。
その後は後を追う形になりましたが故郷のエチオピアなどでも生産されるようになりました。
果実感の強いフローラルな風味は、飲んだ人を虜にします。
-当店取り扱いのゲイシャ-
-紅茶のような気品ある香り-エチオピア ゲイシャ チャカ ナチュラル
-Caturra カトゥーラ(カツーラ)-
ブラジルのミナス・ジェライス州で発見されたブルボン種の突然変異種。
ティピカやブルボンに比べると耐病性があり樹高も低いため栽培しやすいのですが、それはあくまでアラビカ種の中でのことで、耐病性、耐虫性は決して高いとは言えません。
生産性もブルボン種と同様2年に1度の隔年収穫のため高くありません。
生豆は少し丸みを帯びた形状で少し小粒、風味は柑橘類の酸味と渋みを持っています。
中南米、中でも中米の農園で広く栽培されています。
-当店取り扱いの主なカトゥーラ系珈琲豆(混在も含む)-
-SL28/34(エスエルニジュウハチ・サンジュウヨン)-
ケニアにある研究所、Scott Agricultural Laboratories(スコット農業研究所)によって栽培された人工複合品種は研究所の頭文字からSLがつけられます。
SL28は耐病性は低いものの耐虫性があり干ばつに強く、低地での栽培にも向いておるなど長期的な生産が可能な品種です。
しっかりとした酸味には余韻もありフルーティさも感じられ、ケニアをはじめアフリカでは広く知られている品種です。
SL34は耐虫性は低いが耐病性があり、高地での栽培に適しています。
風味は爽やかでフルーティな酸味とコクが特徴的でケニアでは栽培している農家が多いそうです。
-当店取り扱いの主なSL系珈琲豆(混在も含む)-
-爽やかな香りと抜群ののどごし-ミャンマー 星山-SEIZAN-
-Kent ケント-
1920年頃にインドのカルナタカ州にある都市マイソールにあるケント農園で発見されたティピカと多品種の交雑種。
耐病性があり生産性が高く、インドをはじめケニアやタンザニア等で広く栽培されています。
タンザニアで生産されたブランド「キリマンジャロ」にも多く含まれている品種です。
味わいや風味は大雑把に言えば…所謂キリマンジャロ的な奴です。
-当店取り扱いの主なケント系珈琲豆(混在も含む)-
-Amarelo アマレロ-
ブルボンの変異種で、通常赤く熟す実が黄色く熟すことからポルトガル語で黄色の意味を持つアマレロと名づけられました。
樹高は低く耐虫性もあることから生産性が高いアマレロは、ブルボン種特有のやや小さめの生豆で、甘味とコクに加え豊かな酸味も感じられる味わいで高い評価を受けている品種です。
-当店取り扱いの主なアマレロ系珈琲豆-
-香り良く酸味と甘味のバランス◎-ブラジル ブルボンアマレロ アルコイリス
…コーヒーの品種はほとんどがいまだ解明されておらず現時点でも品種の解明、研究は世界の至る所で行われています。
その為、一昔前の資料ではティピカとブルボンが同列に記載されているようなものもありました。
もしかすると別の資料等とは異なる記述が含まれていたかも知れません。
コーヒーの研究は日々行われており情報は公開された時期によって差異が生じているものもありますので今回の記述について他の資料や今後の説などと相違のある点につきましてはご了承ください。
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