ナチュラル?ウォッシュト?コーヒーの精製方法
第8回ナチュラル?ウォッシュト?コーヒーの精製方法
—COFFEE BEANS HIROの店主によるブログです。
コーヒーやお店の事から全然関係ない日常の事まで色々な事を綴っていきます。
HPも新たに、こまめに更新していけたらな~という次第です。
第8回は『精製』について。—
○○・ナチュラル
○○・ウォッシュト…
などと表記されて売られている珈琲豆を見たことがありませんか?
みなさんの手に届く珈琲豆は焙煎され茶~黒褐色になった豆ですよね。
その前に珈琲屋さんに届く珈琲豆は生豆という緑色の豆です。
この生豆を焙煎してお客様に珈琲豆として届けているのですが、ではその前はどうでしょうか?
「海のない内陸部で育った子供の中には魚がスーパーで並んでいるような切身のまま泳いでいると思っている子が少なからず存在する」
という都市伝説めいた話を聞いたことがありますが、珈琲豆も同様です。
珈琲豆というのは『コーヒーノキ』と言うアカネ科に属する植物にできる果実の中にある種子(コーヒービーンズ)の事を言います。
豆、と呼んでいますが正確に言うと種になるんですね。
と、言う事は珈琲屋に届く生豆には本来『果肉や皮』が付いて木に実っていたはずですよね。
この、果実の状態から生豆に加工する工程を精製と呼びます。
そしてこの精製方法にはいくつかの種類があり、精製方法によってコーヒーの味わいが変わったりもします。
前置きが長くなってしまいましたが今回はそんな珈琲豆の精製方法をご紹介します。
精製方法により変わるコーヒーのおおまか傾向などを知っていれば珈琲豆を選ぶ際の参考にもなると思うので是非、お付き合いくださいね。
目次
①果実から生豆に
②ナチュラル(非水洗式)
③ウォッシュト(水洗式)
④パルプドナチュラル・ハニー(半水洗式)
⑤スマトラ式
⑥まとめ
⑦一長一短
果実から生豆に
コーヒーの実には中心部に一対の種子が入っています。
種子は薄い内果皮、果肉、外皮に覆われているためこれらを除去して種子を取り出さなければいけません。
この作業を精製と呼び、取り出された種子が生豆として世界中に出荷されています。
精製方法には大きく分けて『非水洗式』『水洗式』、そして両者の折衷型とも言える『半水洗式』の3通りがあります。
今回は代表的なこの3つの方式と、インドネシアで行われている独自の『スマトラ式』を含めた4つの精製方法を紹介します。
コーヒーの実の構造と精製の工程
-コーヒーの実はレッドチェリーと呼ばれるさくらんぼのような赤く丸い形をしており、この赤い外皮を剥いでみると黄色い果肉が姿を表す。
果肉の中心にはお目当てのコーヒービーンズ(種子)があるのだが、この種子はミシュレージと呼ばれるヌルヌルとした粘膜を纏っている。
このヌルヌルを水で洗い流すといよいよ種子が…とはいかず、もう1枚の内果皮(パーチメント)が種子を守っている。
乾燥させカラカラに乾いた内果皮を剝がせばようやく銀皮(シルバースキン)を纏った種子とご対面、これが生豆として出荷される事になる。-
精製方法とはつまり果実から生豆になるまでの工程の違いでザックリ言うと
①外皮→②果肉→③ヌルヌル→④内果皮→⑤生豆
この5工程をどのように行うか、という話になります。
-箇条書きにすると-
収穫した果実をそのまま(①の状態)乾燥させ⑤まで剥いていく→ナチュラル
収穫後①~③まで水等で洗い流し④の状態で乾燥させる→ウォッシュト
①~②まで取り除いたあと、③を0~100%残して乾燥させる→パルプドナチュラル・ハニー
①~②まで取り除いたあと乾燥するが、完全に乾燥する前に④まで取り除く。その後もう一度乾燥→スマトラ式
となります。
それでは、それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。
ナチュラル(非水洗式)
シンプルな方式
収穫した果実を乾燥させ脱穀し生豆を取り出す方法で、多くは機械を用いず天日乾燥させている。
作業工程がシンプルなうえ設備投資も比較的少なく低コストで行える。
但し、天日乾燥を行う場合は乾燥場となる広大な平地が必要になる。
主な生産国
ブラジル・エチオピア・イエメン等で主に採用されている。
メリットとデメリット
-メリット-
・果肉をつけたまま乾燥させるナチュラルでは豆の風味やコクが強くでると言われ、後述のデメリットを加味しても尚、ナチュラルが愛される要因となっている。
・他の精製方法に比べると比較的低コストで行える。
-デメリット-
・他の精製方法に比べ豆の見た目が見劣りする事や、欠点豆や不純物の混入率が高い。
味わいの傾向
熟成した風味やコクがでる。
豆の個性が強くでてややクセのあるコーヒーになる。
当店の主なナチュラル製法の珈琲豆
-妖艶で甘美-ドミニカ プリンセサワイニー (クリックして表示)
-甘く柔らかな酸味-ウガンダ アフリカンムーン (クリックして表示)
ウォッシュト
現在主流となっている
後述する精製過程において豆の選別が行われるため生豆の精製度が高く、現在多くの国や農園で主流となっている方式。
精製工程
まず、収穫した果実から果肉のみを除去し次いで、ヌルヌル(ミシュレージ)を発酵槽に漬け微生物の働きによってこれを除去、その後豆を水洗いしてから乾燥させ脱穀となる。
ナチュラルでは
収穫→乾燥→脱穀→選別→出荷 と5工程の所が
ウォッシュトになると
収穫→果肉除去→発酵槽でヌルヌル除去→水洗い→乾燥→脱穀→選別→出荷 と8工程となりナチュラルに比べ工程に加え必要な設備も多く高コストとなる。
メリットとデメリット
-メリット-
・生豆の精製度が高い
-デメリット-
・ナチュラルに比べると高コストになるためいくぶん高値になる。
味わいの傾向
雑味のないクリアな味わい
品質が安定している
当店の主なウォッシュト製法の珈琲豆
-紅茶のような気品ある香り-エチオピア ゲイシャ シェワジバブ (クリックして表示)
-甘く優雅な余韻-ケニア プライドオブケニア AA (クリックして表示)
パルプドナチュラル・ハニー
折衷型
水洗式で行われる発酵槽による”ヌルヌル”の除去を行わず、または割合除去を行い乾燥させます。
主な生産国
ブラジル・コスタリカ等
味わいの傾向
ナチュラルとウォッシュトの中間、クセを残しつつもクリアな味わいに。
当店の主なパルプドナチュラル・ハニー製法の珈琲豆
-香り良く酸味と甘味のバランス◎-ブラジル ブルボンアマレロ アルコイリス (クリックして表示)
-ハニープロセス、酸味鮮やか-コスタリカ FSHB ジャガー (クリックして表示)
スマトラ式
気候に対応した方式
インドネシアでは突然のスコールが多くナチュラル・ウォッシュトで行われている乾燥方法では十分な乾燥が行えませんでした。
そこで知恵を絞ったインドネシアのコーヒー農家は、完全に乾燥させないまま内果皮の脱穀まで行い生豆の状態で再度乾燥させる事にしたのです。
生豆の状態だと乾燥時間が大幅に短縮でき、その副産物として独特の風味やコクが生まれ現在でもインドネシアで主流の方式として採用されています。
生豆の特徴
乾燥が不十分の状態で脱穀しそのまま乾燥を行う為豆の形がいびつな形になりまた、独特の濃緑色をしている。
味わいの傾向
独特の香味とコクがでる。
当店のスマトラ式珈琲豆
-甘い香りのビターチョコレート-インドネシア スラウェシママサ(クリックして表示)
まとめ
精製方法 | 工程 | 味わいの傾向 | 主な珈琲豆 |
ナチュラル | 果実のまま乾燥 | クセのある風味やコク | ドミニカ プリンセサワイニー ウガンダ アフリカンムーン |
ウォッシュト | 発酵槽でヌルヌルを除去、水洗いして乾燥 | 雑味のないクリアな味わい | エチオピア ゲイシャ ケニア プライドオブケニア |
パルプドナチュラル・ハニー | ヌルヌルを残して乾燥 | ナチュラル・ウォッシュトの中間 | ブラジル アルコイリス コスタリカ ジャガー |
スマトラ | 生豆の状態で乾燥 | 独特の香味とコク | インドネシア スラウェシママサ |
一長一短
いかがだったでしょうか。
今回は珈琲豆の精製方法について簡単にですが紹介してみました。
生豆の見た目も評価されるスペシャルティコーヒー席巻の時代、ならば「生豆の見た目が美しくなりやすいウォッシュトが最も優れているのか」と言うと答えは「No!」で現在では、同じ珈琲豆でもナチュラル・ウォッシュト両方の生豆を生産している農園も数多くあります。
そのことからも単純に精製方法で品質の優劣はつけられません。
しかし精製方法の内容や違いによる味わいの傾向などを知っていれば自分に合ったコーヒーを探すのに参考になるかと思います。
例えば珈琲豆を400g購入する場合でも
「クセのあるコーヒーを飲みたい時用にナチュラルの豆を200gと、すっきりとしたコーヒーを飲みたい時用にウォッシュトの豆を200g買おうかな」
と戦略(?)を練ることができますよね(笑)
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